日本LPガス団体協議会
1 FRP容器の特長(Ragasco社パンフレットより)
(1)製造工程(三部構造)
@ 容器本体
・先ず内側のライナー(高密度ポリエチレン製)をブロー成形
・樹脂を含んだグラスファイバーをその上から巻き付け圧力容器を造る
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A ケーシング
・容器本体の保護を目的とし、持ち運び、デザイン性からアウターケーシング(高密度ポリエチレン製)を取り付ける。
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(2)特長
@ 安全性が高い
・発売以来15年、北極圏(-40度C)から砂漠地域(65度C)にいたる70カ国以上で1千万本以上販売され、安全に使用されている。
・耐高圧性は鉄製容器の2倍(約150気圧)
・火事にあっても爆発しない。(コントロールされた燃焼)
*火災の熱により、内側のライナーが溶け、中のLPガスが本体外側のグラスファイバーの隙間から漏れ出し、火がつく。グラスファイバーは火災の熱では溶けないので、LPガスはコントロールされた形で燃焼。7.5kg型で約30分内に燃え尽きる。燃え尽きた後も容器本体の形状は残る。
(平成22年、呉市消防局立ち会いの下に行われた火炎暴露試験より)
A 軽い
・鉄製容器の約半分
空容器の重さ:FRP容器(7.5kg型、バルブを含む):4.5kg
鉄製容器(8kg型):10.1kg
・持ち運びがし易い、省エネ配送
B 錆びない
・沿岸地域や船舶での使用に適している
・鉄製容器に比べ維持コスト(錆び落とし等)が低い
C 半透明
・半透明のため、LPガスの減り具合が容易にわかり、ガス切れを起こす心配がない。
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D カラフル
・多様な色があり、美観性に優れ、室内においても違和感なく使用可能
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2 法的整備
@ 容器保安規則改正
用語の定義(液化石油ガス用一般複合容器)の追加
刻印方式等(アルミニウム貼付方式、記号:CS)
技術上の基準(使用期限:15年経過して充填及び使用・貯蔵等できない) (水中での使用禁止)
A 告示改正
液化石油ガス用一般複合容器の外観検査を規定
B 機能性基準の運用改正
日本LPガス団体協議会技術基準S高―003(液化石油ガス用プラスチック製一般複合容器の技術基準(2014)を例示基準として追加
3 スケジュール
・法的整備については、平成26年12月9日から平成27年1月19日までパブコメにかけられ、本年2月24日に改正が行われて法的整備が完了。法的には10kg以下のFRP容器について、今後製造及び一般販売が可能になる。
・一般販売にあたっては、新しい例示基準に基づき設計確認試験やKHKの型式承認及び例示基準に基づく組試験を行い合格する必要があり、実際一般販売が開始されるのは平成28年度以降と見込まれる。
4 特認FRP容器の国内販売
一方、ラガスコ社製の7.5kg容器について、昨年夏以降2万本を上限とする特認による国内販売のための容器検査申請(設計確認試験)がなされており、平成27年1月に合格書が交付された。今後輸入手続きを経て、一般販売に先立ち春頃には国内販売が開始される予定。本件については、昨年12月28日(日)のNHK正午のニュースにも取り上げられた。
5 その他
・カップリング方式を採用しているため、容器と調整器及びガス器具との接続がワンタッチで容易かつ安全。
なお、正しく接続されると、
カチッと音がする。
・現在の法規では、内容積が20リットル以下の容器(プロパン:約8kg相当)は警戒標(高圧ガス)の掲載や消火設備等の携帯無しで車に積載して運ぶことができる。5kg及び7.5kgの容器の場合、配達でなく、LPガス販売事業者のところで直接交換することが可能。(液石則第49条)
・都市ガス世帯やオール電化住宅において、災害時対応やガス栓がないところでのガスファンヒーター、ガス衣類乾燥機などのガス機器の使用が工事をせずに可能であり、分散型エネルギーとしてのLPガスの利便性を有効に発揮できる。